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TCD Branding Magazine - ブランディング Web制作 | tcd…

ブランドのポジショニング6

競合の認識、このテーマは「第3号」で議論した「製品カテゴリーをどう捉えるか」というテーマと密接に結びついています。製品カテゴリーの捉え方の重要性と困難性については、その際に触れましたが、カテゴリーの認識が十分にされたとして、誰がそのカテゴリー内で直接の競合か、競争相手かということも当然ながら極めて重要です。BPSでは、「競合ブランド( The competitor )」として明記する必要があります。

海外のBPSを見ていますと、多くの場合、この競合ブランドは単数形で表現されています。もちろん、市場の競争形態や競争状況から複数であっても構わないのですが、ポイントは、Source of business /Source of share などといわれているように、自分たちがボヤボヤしていると、ビジネス(シェア)を持っていかれてしまう相手ブランド、あるいは逆に、自分たちがシェアを奪おうとする直接対決の対象ブランドのことです。表現がやや過激ではありますが、実際のビジネスでは、シェアを奪ったり、奪われたりの繰り返しですから、このような捉え方も必要でしょう。




私は、BPSを作成する際に、自社ブランドと競合ブランドを比較して行うように勧めています。あるいは、競合ブランドに関する情報を出来るだけ収集し、BPSの様式に従って分析して自社ブランドのBPS作成に取り掛かるのも意義のあることです。競合ブランドを認識すると、消費者ターゲット・グループで共通点が多いことに気が付くと思います。このことは、ある製品カテゴリーで、特定のブランド・ベネフィットを提供しようとすると、その領域(セグメント)で競合し合う存在があることを意味し、現実の競争は、その相手ブランドとの間で行われていることを意味します。

消費者の立場からすると、何か製品やサービスを購入しようとする場合に検討の対象になっているブランド、そして最後まで選択の対象として残ったり、時にはAというブランド、また別の時にはBというブランドを選択する、といったような関係にあることも意味しています。これは多様な競合関係を分析する際にも適用される考え方で、「想起ブランドのセット」や「考慮集合」、Evoked set などと呼ばれています。

もうひとつの重要な点は、やはりカテゴリーの把握と関連します。競争が激しく、シェアの奪い合いの状態が続けば、当面の敵しか競合ブランドとして捉えないきらいがあります。ブランドの責任者は、常に誰が競争相手かについて、将来的に競争相手になりそうな可能性のあるブランド(企業)についても考えておく必要があります。その意味では、カテゴリーが固定性の高いものと決め付けることも避けなければなりません。
複合的な競争環境を認識しておくことも必要でしょう。ハンバーガーの値下げは、牛丼やコンビニのおにぎりの価格にも大きな影響を与えました。未だ規模は小さいのですが、洗剤不要の洗濯機の登場は洗濯用洗剤の販売に影響を与える可能性があります。


一方、流通の変化・発展によって競合環境が大きく変化することにも注意しておかなければなりません。たとえば、インターネットでの購買習慣が拡大していますが、このような場合、小売店が同一商圏内の競合店が競争相手とのみ思っていると、まったく別の形態のビジネスが進出し自社のビジネスに多大な影響を与えているかもしれません。
アスクルの成功は、新しいビジネス・モデルの登場の観点から取り上げられることが多いのですが、文具の流通における競争形態を変え、競合関係を変えつつあるとも考えるべきでしょう。




このように競合を理解しますと、競合相手との比較においてどのように競争上の優位性を築いていくかという戦略上の議論に発展します。Competitive edge は何か、という議論が必要になってくるわけです。競争優位性を築くべき領域はいくつか存在しますが、技術的な優位性を消費者に十分に認知される形で伝えることができれば、優位性を保つことが可能でしょう。
しかし、「第2号」で触れましたように技術的優位性のみでブランド全体の優位性を保持することの困難性を考えれば、情緒的な価値にまで高めるマーケテイング戦略が必要なことを理解して頂けると存じます。


一方、包括的な競合分析は、未だ発掘されていない領域の発見や、ニッチ市場の発掘も可能にします。このことを逆の立場、すなわち魅力的な市場を前に新規参入しようとする企業は、競合関係の把握や、未開拓の領域の発見・育成などを企図するであろうと考えると良く理解できます。

ブランド・ヘリテージ・ラボ 代表 末包 厚喜