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TCD Branding Magazine - ブランディング Web制作 | tcd…

"日本"というブランド(1)

ご存知の方もおられるでしょうが、ロンドンの「ワガママ」というラーメン店が大変評判で、今月初め、所用でロンドンを訪問したおり、現地の知人にも勧められたこともあって入ってみました。そこでの経験で、大袈裟に言うと日本文化のブランド化、ブランドの根源でもあるアイデンティティといったことを考えさせられましたので報告してみようと思います。

Haymarketを少し外れたNorris Streetにある店は、フォートナム&メイスン FORTNUM & MASON や画廊が立ち並ぶエリアも近くにある立地で、ジーンズの若者は歩いておらずスノッブに受けているのかと思わせました。週日の午後3時頃のぞいた時も、3人ほど席待ちの客がいて繁盛している様子、夕方に出直しました。店内はオープン・キッチンのカウンターと12人以上座れる長大なテーブルが10卓ほどに若干の個室風コーナーという殺風景ともいえるシンプルな構成のインテリアで、第一印象は「ここでラーメンを食わせるのか、おぬしも中々できるな」というところですが、東京のカフェ・バーに比べると驚く程ではありません。

他に日本人や観光客といった客はおらず、地元のビジネス・パーソンらしき風情のグループばかり。テーブル構成から相席にどうしてもなるのですが、独り文庫本を片手に味噌汁椀とミネラル・ウォーター、何かの小皿をつついている青年も混じります。よくある海外日本料理店の日本人の溜まり場的雰囲気は全くない。面白いのは、ラーメン、チャーハン、うどん、焼き鳥といったB級グルメの品書きがそのままローマ字でメニューに延々と書かれています(何故か「野菜炒め」はYasainoitameruとなっている)。一体味はナンボのもんや確認せねばと店の名がついたWagamama ramen (£6.70)と、スターターとして人気メニューとある揚げギョーザに枝豆(米国都市部で人気だそうで、こちらでもかなりファッショナブルなメニューです。大豆と同じと知らない人もいる)、そして、取り敢えずビールですが、こちらに来てまで、メニューにあるサッポロ、キリンを飲むことはないので、シンガポールのTigerを注文した次第です。

全く日本と同じラーメン丼に木の小型杓子(予めテーブルにセットされているのは割り箸のみで、誰もナイフ/フォークは使っていない)が添えられて出てきたその味は、正直言って美味いと思えるレベルでした。チキン・スープをベースにした出し汁やテンコ盛りともいえる、チャーシュー、ピンク縁のカマボコ、カニ・カマボコ、本当の海老、半切りゆで卵、緑色野菜等々のトッピングでガッカリさせません。日本でも800円なら、そこそこ客が入るかもしれない。一方、連れが食したYasaiitame sobaは、香菜とライムが入った鶏がらスープに平たいきし麺風のヌードル・スープで、ココナッツ・ミルクは使ってないもののアジアン・エスニック味でした。これも個人的には好きなタイプですが、但し何れも、しっかり「うまみ調味料」が使ってあるようで、連日は勘弁したいというのが本音でした。

海外での日本食人気に主題があるわけではないので感心したのは、日本の「ラーメン」や日常的メニューを換骨奪胎してアジアン・エスニック料理のクロスオーバーに仕立てたところ。スゴいですね。こんなものが日本料理かとある種の文化的義憤を感じた人もいるようですが、肝心なのはネーミング、品書き名、食器、箸などテーブルセッティングが明らかに「日本」なのに、彼ら自身はどこにもJapaneseとは掲げていないことです。客がリアルな日本食と思うかどうか(殆どの現地人はそう思っている)は別問題としているように思えます。その意味では極めてユニークなビジネス・モデルともいえるかも知れません。オリジナリティという点では、ラーメンそのものが、冷やし中華そばと同様に日本独自で発達した中華料理であるところに、かなり食文化的「ねじれ」があって、これまた面白いと感じました。

このレストラン・チェーンの素性をcaterer-online.comというレストラン業界のサイト等で見ると、1992年に中国系のALAN YAU氏がラーメン・レストラン「wagamama」を大英博物館近くに開業、97年には英国の投資家グループに売却し、自らは次々とユニークなエスニック・レストランを開業し大成功を収めている有名なフード・プロデューサー・起業家によるもののようです。また、現在wagamamaは、英国内に21店(ロンドンだけでも15店)あり、故・ダイアナ妃御用達で有名なデパート:Harvey Nicholsの6Fにも支店があって、看板が縦書きカタカナで「ワガママ」とあるため日本料理店と勘違いする日本人観光客もいるらしい。一店舗約130席程度の規模で約2,500人/週の集客、客単価は平均£11.25(約2千円超)、2002年度の売上げが、£19.4m(35億円ほど、前年比30%増)、税引き前利益が£1.4m(前年比200%増)で、海外ではアムステルダム、シドニーにまでチェーン展開しており、従業員600名以上の規模とあります。

このテーマは、なかなか多面にわたって交錯した論点があると思われますので、次回も引き続いて報告いたします。


Norris St 入口外観
Norris St 入口外観 Norris St 入口外観


ショップVI キーイメージ
地下の店内に入る階段踊り場壁をはじめ様々に展開されている
ショップVI キーイメージ ショップVI キーイメージ


以下の図版は、このレストラン・チェーンのWEBサイトでダウンロードできるものです。
http://www.wagamama.com/

Eメール用ポストカード
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 スクリーン・セイバー(アニメーション)
スクリーン・セイバー(アニメーション)

TCDブランディングカンパニー クリエイティブ・ディレクター 高橋正広