ホワイトバンドをご存知ですか?
最近、巷で大人気の「ホワイトバンド」。売切れ店続出との噂ですが、みなさんご存知でしょうか。ホワイトバンドとは「ほっとけない世界のまずしさキャンペーン」のシンボルとなっているシリコン製の白いバンドです。
さて、
同キャンペーンのホームページを覗いてみると、「3秒に1人、子どもが貧困から死んでいます。食べ物がない、水が汚い、そんなことで。この状況を変えるには、お金だけではなく、あなたの声が必要です。貧困をなくそう、という声を表す、ホワイトバンドを身につけてください。」との記述とともに、有名人がホワイトバンドを腕につけて登場しています。世界同時キャンペーンなだけあり、世界中のスターが入れ替わり立ち代わり登場します。最近は、私の周囲でもチラホラ見かけるようになりました。とくにSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)・ブログなどを熱心に更新している友人の間で、ホワイトバンドをつけようという意識が高い印象を受けます。これまでに貧困撲滅をうたったキャンペーンは数多くありましたが、なぜ今、ホワイトバンドがこれだけの人気を博しているのか、興味を持ちました。
まず、ホワイトバンドを購入したという人の日記(SNS、ブログ等)を可能な限り読んでみました。大半が、「有名人が参加しているので、何となく参加」や「もはやファッションの一部になっていて、友達からもらった」、「世界中で広まっているので、世界とつながっている感じがする」等で、これらの参加理由からは従来と違った何かを感じることはできません。有名人の起用は大昔からある手法ですし、世界規模でのイベントもめずらしいことではありません。
むしろ、読み進めるうちに、私は購入理由そのものよりも、ホワイトバンドの日記への登場回数に驚かされました。あるSNSでは過去1週間分の日記検索で約1000件ものヒットがあります。その上、そのほとんどの日記に必要以上にトラックバックがついていて、口コミ効果がリアルに実感できます。また、さらには「はじめまして。私もホワイトバンドをつけています。」といった飛び込みでの共感コメントも多く見られ、たくさんの読者の興味をそそる結果となっています。
ブランド戦略を行う上で、パブリシティはとても重要な意味合いを持ちますが、中でも、口コミは、広告では生み出すことのできない「信頼性」という強みを持っています。広告は、それが企業発である以上、いかに人目を引くものであっても、高度に学習した現代の消費者の気持ちを簡単に動かすことはできません。その点、客観的だと考えられている口コミは信頼が得やすく、その分、影響力も強いとされています。
さて、この口コミは、インターネットやEメールの普及により、従来よりも「広く、早く」伝わるようになったわけですが、SNS・ブログ人気により、それにも増して「より広く、より早く、より深く」波及するようになった感があります。SNSやブログ上では、その本人の日記にコメントを書き込んだり、メッセージを送ることで見知らぬ人とも容易にコンタクトをとれるようになりました。その双方向性は、両者の間に信頼関係を生み出し、そこから得た情報をまるで気の合う旧知の友人から聞いたもののように感じさせます。そして、現在、その日記が無限の人に公開され、意見が交換されることで、その普及の度合いは乗数以上の効果をもって表出しています。
個人的には、SNSやブログの浸透により、「(いわゆる)新しモノ好きな人」から「一般消費者」への伝播期間は極端に狭められた状況になっていると言っても過言ではないと考えています。ただし、その伝播のスピード故に、衰退も早く、「熱しやすく冷めやすい」環境を作り出しているとも同時に感じますので、そのあたりへの対応(いかに興味の持続をはかるか)が今後は注目されるようになるかと思います。
私自身、熱心なSNSユーザーで、これまでSNS・ブログを使ったパブリシティを何度となく経験してきましたが、ここまで全国的に奏を功したのは、今回のホワイトバンド・プロジェクトが初めてなのではないかとの実感があります。もちろん、ホワイトバンドの販売が貧困撲滅を目指し、営利目的ではない分、他の一般的な消費財と比較すると「信頼」を得るのは圧倒的に容易で、単純には比較できないという側面はあると思います。ただ、それでも、同種の諸々のキャンペーンと比較すると、このホワイトバンドの6月末から7月・8月初めにかけての急激な人気の高まりには、やはり目を見張るものがあります。SNSやブログの本領発揮といったところでしょう。
今回のホワイトバンド・プロジェクトの(普及段階での)成功は、今後、SNS・ブログ上のパブリシティにおけるベンチマーク的な役割に位置付けられるのではないでしょうか。
TCDブランディングカンパニー 柿原真実