10月19日、世界初のヴァーチャルホテルがオープンしました。
ラウンチパーティではスペシャルゲストのベン・フォールズが未公開(10/24発売)のアルバムに納められた新曲の初披露をして、おおいに盛り上がったそうです。
さて、そのヴァーチャルホテルとは?
シェラトンホテルやウェスティンホテルなど、8つのホテルブランドを全世界で展開しているスターウッドグループの新ブランド「
ALOFT」が2008年のオープンに先駆けてお客様に提供している「エクスペリエンス」です。
このホテルは、新しいライフスタイルを提案するホテルとして話題の「W HOTELS」を手がけたチームが、その成功を"ホテルを単なる宿泊の場所から、さまざまな体験の場へと転換したこと"にあったことを踏まえて新たに立ち上げられたホテルブランド。彼らはALOFTについて「都会的でかっこ良く、従来の時代遅れなホテルとはまったく違う」と言い切っています。
「aloft」(空高く~)といった意味を持つブランド名、さらにいえば、「a loft」といった言葉も連想させ、(Loft:19世紀初頭にアメリカの芸術家が広いアトリエと安い家賃、さらに反社会的な意味も込めて、使われなくなった工場に移り住みはじめ、それが「創造的」「自由」を象徴するカッコ良いスタイルとして世界中に広まったムーヴメント)そのネーミングだけで私は既に、「何かやってくれそう。」といった期待感を持ちました。
さて、まず挙げるべきその「従来のホテルとはまったく違う点」は、1号店立ち上げの2年も前にお客様に提供している、リアルとヴァーチャルの世界での「ブランド・エクスペリエンス」です。
■リアルで---
ALOFT a-go-go流線型のアルミの機体にリベット留めのキャンピングトレーラー、エアストリームを改造し、ALOFTの様子をほんのちょっと体験できるactivity centerを製作し、なんとホテルが自らが動いて「体験」を提供しに出かけるというもの。06年1月から全米を巡り、関連サービス会社やデベロッパーに行っては、今後の「ALOFT」展開のためのビジネスミーティングの場と化し、POPカルチャーのイベントに行っては、将来の顧客へ向け、「ALOFT」の楽しさや期待感を提供し、絶大なパブリシティと口コミの効果を生んでいるそうです。
■ヴァーチャルで--
-ALOFT in Second Life10代~80代まで、世界中に80万人ものユーザーがいるというオンライン・ヴァーチャルワールド「Second Life」の中に2006年初頭からホテル建設を始め、その様子をブログで公開しているというもの。冒頭はそのラウンチパーティに関するニュースです。また、ヴァーチャルホテルはPR機能としてだけでなく、数パターンの建築デザインから人気だったものを取り入れるなど、モニターの場としても活用されています。
普段ゲームには無縁の私も、たまらず見てみたくなってこのヴァーチャルホテルを覗いてみました。リッチコンテンツを見慣れた私達にとって、質感など「ホテル」そのものは、特に驚くこともありませんが、アメリカが夜の時間帯には人(アバター)であふれ、さかんに会話(チャット)が交わされています。SONY BMGが展開しているメディアアイランドに隣接していることもあり、イベントには最適の場所ですので、このヴァーチャルホテルの役割は、情報発信やコミュニケーションの場といったところなのでしょう。
上記PR戦略や、WEB、プレスリリースにいたるまで、みごとに一貫したトーン&マナーが構築する「ALOFT」のブランドキャラクターは、若々しく、行動的で、フレンドリー、かしこまらず、それでいてスマートなオンライン世代。つまり、ここ数年話題の新・富裕層「BOBOS」のイメージ像に合致します。さらに、「ALOFT」はBOBOS層にヒットする価値観「環境への配慮」へのプロジェクトも予定している旨を発信している点など、目配りの抜かりのなさを感じます。
■ALOFT See Green(エコフレンドリーなプロジェクト)
駐車場に芝生を植える、ハイブリッドカーを貸し出す、建材は再利用のチーク材を使う、アメニティは非再生物質を削減して作られた詰め替え用ボトルを使用、などなど、オペレーションやツールによってそれぞれのゲストに環境に対しての責任を選択できるようにし、環境への負荷を軽減する手助けをするという、「ALOFT」のビジョンを形にしたプロジェクト。
現在、本部スタッフによって守られている「ALOFTらしさ」が、立ち上げ後、フランチャイズによって世界中に展開されてゆく上で、どのように守られ、継承されてゆくのか、という事については、今後注目すべき点であり、ブランド運営を担当する皆様の参考にもなるのではないでしょうか。
今のところ、「W」も「ALOFT」も日本展開の予定が聞こえてきませんが、ぜひ、日本における「ALOFT」の実現を見てみたいものです。
□補足:「Second Life」について
特に目的を与えず、モデリングツールと通貨やチャット機能といったインフラだけ整えられたオンライン・ヴァーチャルワールド。他者とコミュニケートしたり、土地を買って店を作ったり物を作って売ったりできます。ゲーム内の通貨は米ドルに換金でき、それで生計を立てる人も出てきたほどで、米政府は課税を検討。
ユーザーはSecond Lifeの中でイラク戦争について反対又は賛成運動を繰り広げたり、(リアルの)大統領戦のキャンペーンも行われるなど、ゲーム内での目的が設定されていないだけ、普通の社会に近いことが繰り広げられています。最近では企業も目をつけ、Second Life内に体験の場を設けて、リアルの世界でのPR費よりはるかに安い投資でPR活動を行っています。
・日産がドライビングコースを建設、新車を走らせる。
・SONY BMGがアーティスト部屋を設けてPRやコンサート開催。
・ロイターが通信局を開設。リアル社会やSL内の情報を取材・発信。
・NIKEがSL内アバター用のスニーカーを開発して販売。
などなど。
Second Life(英語版)
http://secondlife.com/Second Life(日本語版、まもなく公開)
http://secondlife.com/world/jp/Second Lifeについて書かれたブログ(日本語)
http://toshio.typepad.com/b3_annex/second_life/index.html